蝶になったあの日から

乙女心と秋の空 / HEAVY MENTAL HERTZ

 祖父の家に親戚一同が集まった。中には久しぶりに再会するMもいた。彼女はやたら積極的に僕に話しかけてくる。指に嵌めた幾つものごついリングを抜きながら、
「これはファンの人にもらったのでしょ。これはこの前買ってもらったのでしょ。これは……」
 僕は嫉妬した。何故なら僕は彼女を好きだから。しかし、その後が唐突だった。
「わたしと付き合ってください」
 なんで?
「だって君のことが好きだから
 有名人になり遠い存在だと思っていた彼女が僕を好きだなんて。
 それから僕らは懐かしい田舎の町を散歩した。