幼子は川を渡った。橋の無い川を。だから、舟で渡った。三途の川でないので、六文銭は要らなかった。身に着けるもののほか、持っていたのは、一握りの土だった。少しも落とさぬよう、その小さく柔らかい手で、大事に大事に握っていた。船頭は口をきかず、幼…
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