蝶になったあの日から

乙女心と秋の空 / HEAVY MENTAL HERTZ

貫通

 周囲の壁が白く広大な空間の中心を浮遊している。追っ手が来る。逃げ出さねばならない。真っ直ぐ前方へ飛んでいく。正面にとても大きな絵画がある。僕の背丈の二十倍くらい。絵のほうが巨大化したのか、僕のほうが縮小化したのか。やむを得ない。それの真ん中を突き破る。すると、また今度も同じくとてつもない大きさの絵が。もう一度突き破る。まただ。しかし、あとこの一枚でここを脱出できる。勢いを増して突き破る。外の世界へ。
 おかしい。街の一部が見えるが明らかに二次元だ。白いキャンバス、いや、白い世界の中央に幾つかの建物が描かれている。その街は時間が立つに連れて、描かれながら広がっていく。これも突き破らねばならないのか。