蝶になったあの日から

乙女心と秋の空 / HEAVY MENTAL HERTZ

『純愛心中』堀江珠喜

純愛心中 (講談社現代新書)

純愛心中 (講談社現代新書)

 古今東西の広義の「情死(純愛心中)」についての考察。江戸時代からはファッション、オシャレとしてとらえられるようになった為、人々の関心を引いた。そして、宗教的な制約はありながらも、西洋人もまた情死の話が好きである。
 また、特に目を引いたのが今なお「ネオ・ナチ」というようにナチスにはまる人がいる理由についての作者の見解。ナチスには美学があり、ヒトラーの心中が
その極みである。表面的にかっこいい、ドラマチックであると感じられる要素があるためだと。日本とイタリアとの対比して語っている。
 死に対してロマンスを感じることを表明するのは不謹慎だが、やはりこの本には琴線に触れるものがある。欲を言えば「文士の死」の章でもっと太宰を取り上げてほしかった。