蝶になったあの日から

乙女心と秋の空 / HEAVY MENTAL HERTZ

手紙

 私めのような無教養な人間が申し上げるのも何ですが、芸術と称するのでしょうか、美しいもの、きれいなもの、心がうたれるもの。そういったものに触れて、謂わば「かじる」と空腹が満たされるのです。
 審美眼に自信なぞ有りやしません。でも、ここには見当たらない。空虚な町並み、寂れた通り。味わいもなく、香りも漂わず。
 昨夜はNHKのテレビ番組を二本拝見しました。いずれも、歴史という審査に永年さらされたモノ、コト。一回りも二回りも大きくなった誇りが後ろに映っています。溜め息が洩れる。
 でも、そのような大層なものでなくたっていいんです。所詮、賤しい生まれ。身の丈にあったささやかな喜びがあれば。
 おや、これではあなたに失礼でした。申し訳ございません。逢いたい。今もお慕いしております。