- 作者: ハウス加賀谷,松本キック
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2013/08/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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同じ病で苦しんでいる人は、「薬には合う、合わないがある」、「薬の用法、用量を守る」という教訓が得られるだろう。
わたしは終始、泣きっぱなしだった。苦しむ姿に、喜ぶ姿に、かっこいい姿に。そして、笑いどころもある。尊敬する。それは、ハウス加賀谷氏だけでなく、相方の松本キック氏に対しても、だ。これは文字数は大きく違うが、二人が書いた本だ。
わたしの病も完治することはないかもしれない。でも、よく生きることはできるかもしれないと希望が持てた。以下、引用。
※松本キック氏の視点。コンビを組んでから、ハウス加賀谷氏が病気を患っていることを初めて知って。
今もそうだが、俺は加賀谷に気を遣わない。芸事で間違っているばダメ出しをするし、悪いことは怒りもする。病気を持っていようがいまいが、俺の相方は加賀谷という、一人のパーソナリティにすぎないのだから。
本当のことを言うと、ぼくは、「負の力」で仕事をしていた。恥ずかしい話だけれど、ぼくは自分が売れたことに、こんな思いを持っていた。
「ざまあみろ。ぼくは病気で、薬も飲んでるし、グループホームにまで入ってたんだぞ。それが、テレビにも出て、お金も稼げるようになった。ぼくのことをバカにしたみんな、ぼくをダメなやつだと笑ったみんな、ざまあみろ!」
人を怨む、世間を呪う「負の力」。
これは、簡単に恐ろしいパワーを生み出してしまう。
どうにでもなれというパワーは、人々を圧倒し、魅了することすらある。
だけど、それは必ず自分に跳ね返ってきて、自分を追い込む危険な刃物だ。
※ハウス加賀谷氏が薬を飲み過ぎてぼろぼろな状態で、仕事現場に遅れて行った日の帰宅後。
深夜に家の電話が鳴る。出る気力もなく、コール音を聞いてると、留守電ではなくFAXに切り替わった。ジジジジーっと出てきた紙に手書きの短い文章があった。キックさんからだった。
「簡単なことはするな それはつまらないから 俺もそれはしない」
キックさんは分かっていたんだ。
分かっていて何も言わなかったんだ。
「こんな体、壊してしまえ」と思っていたが、このままではキックさんを悲しませてしまう。申し訳ない。ぼくは何をしようとしてたんだ。そう思うと泣けてきた。泣いて、泣いて、体中の水分がなくなるほどぼくは泣いた。その涙は、明らかにそれまでとは違う涙だった。
自殺という言葉を使わなかったのは、キックさんの優しさだ。
社会の偏見は根深く、なかなかなくならない。
だけど、ぼくは、偏見がなくなることを期待するより、
自分がどう生きるかが大事だと考えてるんだ。