蝶になったあの日から

乙女心と秋の空 / HEAVY MENTAL HERTZ

クラウン(clown)

 わたしは昔から家庭では道化を演じていました。
 両親の不和をやわらげようと、自然と身に着けたものです。
 わたしはグズでのろまで根暗です。それは今でも変わりません。
 それなのに、家庭に於いてはくだらない冗談を言ったり、おどけたしぐさで、場を取り繕っていました。
 結果、どうなったかというと、特に両親に変わりはありませんでした。
 当然です。問題は別のところにあったのですから。
 わたしの腐心は役に立ちませんでした。わたしが、わたしの心を保つ為のものでしかありませんでした。
 ただ、時が解決してくれました。今となってはエゴで動いています。