散文詩
来年一月開催の文学フリマ京都で発売予定の幻想散文詩集『Dead Poets Society』の制作をしている。今日は「Spider in The Brain」という題の詩が書けた。 ピンとくる人はいるだろう。そう。この詩集はDEAD ENDの傑作『DEAD LINE』の曲名から着想を得ている。…
夢を見た。確かに、あれは、夢だった。しかし、起きた今、内容をさっぱり覚えていない。夢を見たという記憶があるだけ。わたしは、いったいどんな夢を見たのだろうか。それを知りたくて、わたしは旅に出た。北に向かって。たっぷり二時間歩いたところでさす…
朝、目が覚めると男は虫になっていた。グレゴール・ザムザのような虫ではなく、蟻ほどの小ささで、毒にも薬にもならぬ虫だ。それによって男は、心から望んでいた真の自由を手に入れた。これで憂鬱な仕事なんかしなくていい。自由だ! 俺は自由だ! 男は彼の…
とある夏の夜闇、影たちがこぞって逃げ出した。大脱走。翌朝から、ありとあらゆるものは光を浴びても、影を創らなくなった。ところで、光が影を創ると思われているが、しかし、実際、そうではない。影は影。単体で存在する。すっかり自由になった影たちは行…
サイベリアの永久凍土から、生きている蝶が発見された! この極めて奇妙な出来事に、世界中の地学者、昆虫学者、歴史学者など、世界中の学者たちが色めきだった。当然である。何しろ、菌やウイルスでもないものが「生きていた」のだから。その上、全身、鮮や…
だいたい、夏の雲というものは威張っている。それは人々がすぐに思いつく、夕方の怒りをはらんだ、入道だけに限らない。朝から晩まで、大小さまざま、実に偉そうにしているのである。夜深くの空を想像していただきたい。見上げてみる。月や星たちを隠して、…
幼子は川を渡った。橋の無い川を。だから、舟で渡った。三途の川でないので、六文銭は要らなかった。身に着けるもののほか、持っていたのは、一握りの土だった。少しも落とさぬよう、その小さく柔らかい手で、大事に大事に握っていた。船頭は口をきかず、幼…
その男は煙になった。毎日、一箱、煙草を呑んでいたら、細胞の奥の奥にまで煙を入れてしまい、姿かたちがすっかり煙になってしまったのである。齢三十七。しかし、男は男である。何の問題もなく暮らしている。煙になったところで何が変わることもなく。いつ…
大宇宙創造聖黄金神が耳元で今日も囁く。生きろ、と。大宇宙創造聖黄金神の姿は見えぬが、いつだって左耳に居る。常に左耳に直接、言葉を発する。わたしは一度たりともありがたいとは思ってこなかった。しかし、大宇宙創造聖黄金神の言うことは絶対。今日も…
ゾンビが未だ蔓延るこの世界。多くの知の巨人たちが、闘えど、闘えど、姿を消さない。それがゾンビたる所以なのだ。そもそも芯まで腐っていて、ダメージをまるで受けないから、ゾンビは尽きない。果たしてヒトがゾンビに打ち勝つ未来はあるのだろうか。それ…