蝶になったあの日から

乙女心と秋の空 / HEAVY MENTAL HERTZ

風切る音の方に。

 来年一月開催の文学フリマ京都で発売予定の幻想散文詩集『Dead Poets Society』の制作をしている。今日は「Spider in The Brain」という題の詩が書けた。

 ピンとくる人はいるだろう。そう。この詩集はDEAD ENDの傑作『DEAD LINE』の曲名から着想を得ている。掲載する詩はすべて、『DEAD LINE』の曲名を題にして書く。

 七か月後まで秘めておくのはもったいないので、ここに冒頭を公開する。

 Spider in The Brain

 彼女の脳には蜘蛛が巣くっている。そんなこと、僕には容易くわかる。目を見ればいい。そういう人間はまず間違いなく瞳が、梅雨のときの雲のような灰色に濁っている。
 然し、彼女はいつ何時でも狂った素振りは見せない。狂っているのは精神だけ。それだからこそ、蜘蛛が住み着いたのだ。そう、狂ったのが先、蜘蛛が入ったのは後。
 蜘蛛は住み心地が良さそうな人間に侵入する。具体的に言うと、若く、身長が低く、甘ったるい声をしていて、可愛いものが大好きで、それでいて煙草を吸う女を狙う。煙で濁り、狂った女を、蜘蛛は何よりも好む。
 では、女の脳内でその蜘蛛は何をするのか? 巣を張って何をするのか?

 さて、蜘蛛は何をするのでしょうか。