蝶になったあの日から

乙女心と秋の空 / HEAVY MENTAL HERTZ

「ゾンビ」

 ゾンビが未だ蔓延るこの世界。多くの知の巨人たちが、闘えど、闘えど、姿を消さない。それがゾンビたる所以なのだ。そもそも芯まで腐っていて、ダメージをまるで受けないから、ゾンビは尽きない。果たしてヒトがゾンビに打ち勝つ未来はあるのだろうか。それを想うと憂鬱になる。おそらく、ヒトはゾンビになったほうが楽なのだ。ゾンビになる誘いのほうが甘美で、けっして堕落ではない、正当な進化で、ヒトはゾンビに為るのが必然なのだ。己がゾンビに為るときがやがて来るのだろう。想像する。怖い。その前に、一思いに、姿かたちが一切無くなるように、二度と復活することが無いように、焼き殺してくれないか。そして、貴方がゾンビに為ったのなら、この手できっと殺める。約束する。ゾンビに為ってまで、魂を生き永らえさせたくない僕たちは、潔さを選ぼう。見た目の美醜ではない。高潔を胸に抱けなくなったら、終わらせよう。