父方の祖父が亡くなったのは、わたしが十二歳のときだった。
わたしの記憶の中で寝たきりだった祖父は、戦争に行ったという。そこで、足に銃弾を受け、悪くしたらしい。
でも、だからといって、それ以来ずっと寝たきりのわけではない。祖父のあぐらの中に収まっているわたしが、写真に残っている。
ちなみに祖母のほうは存命。母方の祖父母は、物心ついたころには、もういなかった。
こんなことを振り返るのは、両親が確実に老いて、死に近づいていることに直面してしまったから。
肌のシワとか髪の色とか。通院とか薬とか。
自分が死ぬことは怖い。それより、親が死ぬことのほうがもっと怖い。
受け入れる準備をしないと。