蝶になったあの日から

乙女心と秋の空 / HEAVY MENTAL HERTZ

迷悩

 ふつふつと湧き上がる虚無。わたしはせっせと掬い上げ、胸に抱え、貯め込んでいる。わたしは何も持っていない。わたしは何の役にも立たない。無は罪。そんな罪悪感に苛まれる。この耳鳴りは、きっとそれを表しているに違いない。

 

 無から生み出すこと。しかし、わたしはそれをやらねばならない。腕組みをしながら、項垂れながら、上半身を揺すりながら。やっとの思いで言葉を繰り出している。

 

 ふと、思う。わたしが伝えたいことなんて、本当は無いのかもしれない。ただ、ただ、うわべだけの美しい言葉を並べていれば自己陶酔できる。そして、その嘘を繋いで、紡いでいけば、遂に完成。

 

 でも、それでは貴方に申し訳ない。と同時に、「もっと自分勝手にやっても誰も文句言わないよ。自惚れるな」とも思う。とりあえず今は後者を選んでみる。好きなことを好きなようにやる。この制約の下でやってみる。余りに自由な不自由。美学のように貫くよ。