段々と、あなたのことをわたしは忘れていく。時が流れる。川が流れ、絶えず同じ形をしないように。
思い出はいつか美化され、甘やかな香りの記憶が脳裏をかすめた。
今更「あの素晴らしい愛をもう一度」というわけにはいかない。わたしたちは変わってしまったのだから。
忘れない為の悪あがき? 傍から見てもみっともないことをするものだ。
わたしは醜い。外見も内面も極めて醜悪。加えて愚か。けれども、否、だからこそ、美しいものにあこがれる。ないものねだり。
誇れることはたったひとつ。諦めていないこと。
あの小さなアリほどの勤勉さ・甲斐甲斐しさもない。でも、滅ぶそのときまで、この身を創作に捧げる覚悟を決めたのだ。
近江舞子は最期まで道化を演じます。