蝶になったあの日から

乙女心と秋の空 / HEAVY MENTAL HERTZ

 わりとあたりまえのことができていないから、書けないのだ。
 好きな人、好きなもの、好きな歌、好きな小説、好きな景色。いろいろあるだろう。
 わたし、近江舞子にブランド価値があるなら、たった一言それを「好き」と言っても意味が出るし、きっと伝わる。
 でも、わたしはまだ知られていないし、そもそも価値のある言葉を世に発表できていない。
 だから、「好き」を伝えるのに工夫がいる。古典的であったり、使い古されたテーマでも新しい切り口――文体、修辞、リズムなど――でもって表現しないと、誰も見てくれない。
 読者の求めるところとわたしの表したいところの交点を探し、悩む。
 まずは自分の書きたいことを書ける技術の習得から。突き抜けるまで。