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蝶になったあの日から

乙女心と秋の空 / HEAVY MENTAL HERTZ

「Amazonプライムビデオでこれ見よう」No.4『恋する惑星』

 

恋する惑星 [DVD]

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 近江舞子:「Amazonプライムビデオでこれ見よう」
始まりました。第四回は、『恋する惑星』でお送りします。
ここでは、映画鑑賞の道の先輩である踊る猫さんに、後輩である僕、近江舞子が学びながら語り合っていきます。
では、よろしくお願いします。


踊る猫:よろしくお願いします。


近江舞子Amazonの説明文では、「長年つきあった彼女にふられた警官223番は、彼女のことが忘れられず、自分の誕生日に賞味期限を迎えるパイナップルの缶詰を買い続けている。寂しさを紛らわせようと、金髪の女性と、行きずりの一夜を過ごす。同じ頃、ハンバーガー・ショップの新入り定員フェイは、夜食を買いに来た警官633番と出会う。淡い恋心を抱いたフェイは、ある日偶然彼のルーム・キーを手に入れた。彼女はその部屋に忍び込み、模様替えを始める・・・。」としています。


踊る猫:そうですね。この映画は積極的にネタを割った方が良いと思うんです。でないと私みたいなそそっかしい人間はとんだ恥を晒すことになりますね(汗)。


近江舞子:先輩の観点はわかりませんが、僕は、この作品を見ていて、辛かったです。


踊る猫:ええと、何処から語ったら良いか……最初に観た段階での感想がこちらなんですよ<ahref="https://filmarks.com/movies/20943/reviews/23853403">https://filmarks.com/movies/20943/reviews/23853403


近江舞子:なるほど。“繋がりがないことが分かると”以下は同じような感想です。


踊る猫:前回の『ヴィジット』みたいな映画は事前になにも知らない方が面白いと思うんです。で、今回も事前になにも知らないで観ちゃったんですよ。その方が面白いかな、と。それで「あれ?変身?」みたいな……混乱して。それで途中で観るのを止めてネタバレを観て「ああ、そういうことか」と……なにせ私は池脇千鶴さんと蒼井優さんを見間違える人間なので……。


近江舞子:うーん。確かに池脇千鶴と青井優は似ているとは思いますけど、間違えはしないかな(笑)
基本、僕はどんな映画も事前情報は無しで観ますよ。


踊る猫:まあ、そこが私の限界というか、ホントに私は映画を観る感性に欠けているというか……ヴィジュアルというのか、画像/映像じゃなくスジばかり目が行くという。だからまあ、スタンリー・キューブリック2001年宇宙の旅』とかデヴィッド・フィンチャーゴーン・ガール』とか、あのあたりになると流石に「凄い!」って分かるんだけれど……脱線は止めましょう。独演会になっちゃう(汗)。
すみません。


近江舞子:いえいえ。僕が辛いと思ったのは、すごく些細なことで、登場人物の食べ方に代表される所作が汚いという点です。


踊る猫:いや、そこも見落としてたかも……大事な点なんじゃないかな。確かにこの映画では食べ物が重要な要素として出て来ますね。缶詰のパイナップル、サラダ、あと缶詰のイワシだったかな?即席ラーメンも。


近江舞子:前編と後編に分けるとして、前編で金城武が缶詰のパイナップルやらフライドポテトやらを食べる場面で、「ああ、観たくない」って思っちゃったんですよね。
前編も後編も、なんかいい話風にオチがついていますけど、そこも、「はあ」としか思えませんでした。


踊る猫:そうですね……私の大問題として、こんなことを語っちゃうと「近江舞子の人生相談室」になるんだけど、さっきの「見間違え」もあるんだけど、私って恋愛経験がないんですよ。だから、前編は失恋、後編はハッピー・エンドなんだけれど、そのあたり「共感」出来なかったんですよ。それがあってなのか、素直に楽しめなかったんです。


近江舞子:恋愛経験がありますが、僕も共感ができませんでしたし、楽しめませんでしたよ。


踊る猫:そうなんですね。ますます難しいな……悩んでます。
もう少し語っても良いですか?


近江舞子:どうぞ。でも、その前に。前編の「失恋の痛み」と後編の「恋の高揚感」がどうも僕にはうまく伝わってきませんでしたね。


踊る猫:それと重なるのかな……私の中の三村マサカズ氏的な性格がどうも治まってくれなくて。「そこまでしてパイナップル食べるのかよ!」「サラダ食い過ぎだろ!」「フェイ・ウォン自由過ぎるだろ!」「トニー・レオン、そこでフェイ・ウォン逮捕しないと職務怠慢だろ!」って、いちいち映画にツッコミを入れてしまって……。


近江舞子:わかります。
上手い例えですね。 >「三村マサカズ氏的な性格」


踊る猫:有難うございます。でも、人に依っては「そこが良い」って話にもなるみたいで……村上春樹氏の小説にも似ていますね。私が「人を選ぶ映画」と感じたのはそこなんです。


近江舞子:お国柄なのか、時代なのか、それとも監督のセンスなのか。


踊る猫:監督自身村上春樹氏は意識してたらしいですね。私も村上春樹氏は嫌いではないだけれど……なにかが違う。そこがなんなのかは二度観たのですが分からないです。


近江舞子:僕は、村上春樹氏の作品は大昔に一度読んだきりで、「合わないな」と思ってしまって避けてきたので、僕が、この作品が「合わないな」と思ってしまうのもしょうがないのかもしれません。


踊る猫:村上春樹氏の作品は『ノルウェイの森』がトラン・アン・ユン監督に依って映画化されていて、それはそんなツッコミを入れずに観られたんですよ。全然入れなかったわけではないですけど。『ノルウェイの森』は村上作品でも結構異質だからそうなったのか、ウォン・カーウァイ監督とトラン・アン・ユン監督の資質の違いなのか……分からないですね。ウォン・カーウァイ作品はもう少し観ますけれど。近江さんとは違って、「辛い」とまでは感じなかったので……。


近江舞子浅野忠信主演の『地雷を踏んだらサヨウナラ』で、浅野忠信氏が瓶のビールだったかコーラだったかに口を付けて飲むのには下品だなとは思えども、辛くはなかったのですけれども。


踊る猫:ごめんなさい。それは観てないです。私は「辛い」とまで思わなかったのは、映像美とか音楽のセンスとか、そのあたりは私と合ったからでしょう。観終えたあとAppleMusicでフェイ・ウォンの「夢中人」聴いたりして楽しみましたから。音楽の力が映像を支えてる。そう評価はしたいんですよ。
どぎつい色(くるくる回るディスクとか)を下品になることなく巧く使ってるな、とも思いました。


近江舞子
そこら辺の感じ方が先輩と決定的に違いますね。前編の残像の場面とか、後編の部屋の模様替えとか、なんか「汚いなあ」と思ってしまいました。
音楽は、悪くはないけれども、ぐっときませんでした。


踊る猫:部屋の模様替えが「汚い」か……ホコリが舞い散ったりするからですか?


近江舞子:それもありますが、僕の(センスとは言い切れませんが)直感で、ビフォーからアフターになっても「汚い」ままなんです。


踊る猫:そうなんですね。これ明かして良いかな(悪かったらカットして下さい)。前回実は黒沢清氏をお薦めしたんだけれど、ここのところこそが近江さんと私の好みの違いの問題なのかな。結構戯画的に誇張されている表現が(缶詰が積まれ過ぎたり、雑巾がボロボロになるまで使われてたり)、それもあるのかなあ、なんて思いながら聞かせて貰ってたんですが……。
「表現が(缶詰が積まれ過ぎたり、雑巾がボロボロになるまで使われてたり)あって、それもあるのかなあ」ですね。正確に書けば。


近江舞子:そうですね。でも、別に違っていていいですよね。テストじゃないのですから。多角的な視点というか。何と言うか。それで、語り合えるのがおもしろいですから。


踊る猫:そうですね。近江さんは私を「先輩」として扱って下さってるわけですけど、私が「正解」を出せる人間であり得ないことは池脇千鶴さんのお話でお分かりになったと思うので、私も近江さんの感想の良き聞き役になれれば、と。


近江舞子:ピースの又吉氏が語っていた、「どんな小説(本だったかも?)でも面白がろうという姿勢」に学んで、どんな映画でも面白がろうとするならば、「うまいこと話ができていた」ですかね。


踊る猫:そうですね。ムダがないことはこの映画の美点だと思います。
フェイ・ウォンも魅力的でしたし。


近江舞子:恥ずかしながら、フェイ・ウォンファイナルファンタジー8の歌の人との認識だったので、演技ができると思っていませんでした。


踊る猫:私はこの映画でフェイ・ウォンを知ったので……というか金城武氏さえこの映画で「演技」を初めて観たという感じなんで、そのあたりはむしろ近江さんから学びたいなと思います。チャーミングだったと思いますよ。


近江舞子:チャーミングでしたね。金城武は昔、日本のテレビドラマに出ていましたね。


踊る猫:私はテレビを観ないので、名前しか知らなかったんですよ。だからテレビに関しては、前々回だったかの『ピンポン』の時の窪塚洋介さんのこととか……そのあたり近江さんの方が「先輩」だと思います。


近江舞子:昔はテレビばかり見ていましたから。


踊る猫:テレビ表現と映画表現が密接に繋がってることを把握出来るってことは、例えば堤幸彦監督『イニシエーション・ラブ』とか、そういう映画を観るところで強みを発揮出来ると思うんです。
テレビドラマの映画化も結構あることだし。


近江舞子:『イニシエーション・ラブ』ですね。今度、観てみます。


踊る猫:いやまあ、堤幸彦作品ならなんでも……『イニシエーション・ラブ』も面白いです。
私も全て観ているわけではないですが(汗)。


近江舞子堤幸彦氏のWikipediaを見ました。テレビ作品は、それこそ『池袋ウエストゲートパーク』とか何作か観ていますが、映画のほうは見事に一作も観ていませんでした。


踊る猫:さっきも書いたけれど、良く良く考えてみれば私も『ケイゾク』の映画版しか観てないかな……だからちょっと今のは「知ったかぶり」が出てしまったかな。反省しています。
ああ、『溺れる魚』もあったな。あれも面白かった。


近江舞子Wikipediaの続きで、「作風・制作姿勢」も何だか好感が持てます。


踊る猫:そうですね。今ザッと見てみましたが……こういうことも近江さんから学べて、有難いです。


近江舞子:では、この辺りで総括をお願いします。


踊る猫:総括か……難しいですね。取り敢えず一致したことはストーリーにムダがないことですね。あとフェイ・ウォンの魅力。それ以外は見事に私たちの観点が食い違うことが分かって、近江さんはテレビを良く観てらっしゃるからその強みを映画鑑賞に活かせるということが確認出来た、という話になるかな。雑な整理かな?


近江舞子:雑だとしても問題ありません。


踊る猫:そう言っていただけると有難いです。今回どうなるかとドキドキしていました。私の独演会にならないように気を遣ったのですが、近江さんからお話を引き出せたのなら結果として良かったかな、と。


近江舞子:こちらこそ。ありがたいです。僕は感想というものをふんわりとしか表せないものですから、引き出してくださって嬉しく思います。
それでは、次回。僕の提示の番です。
黒澤明『夢』です。


踊る猫:「世界のクロサワ」ですね。私は恥ずかしながら黒澤明監督の作品は観ていないので、良い切っ掛けです。有難うございます。


近江舞子黒澤明の逸話は聞けども、作品はちゃんと観たことがなかったのと、あと、ちらっと事前に調べたのですが、これは、「黒澤明自身が見た夢を元にしている」そうなんです。
で、僕は、持病のせいで「夢」というものとは切っても切り離せない体なので、選びました。


踊る猫:私も『夢』のことは前々から気になってたんですよ。いかりや長介が『だめだこりゃ』という自伝を出していて、それを読んだら彼が『夢』に出演した時のエピソードが語られていたので、どういう作品なのかな、と思って。


近江舞子:お互い良い機会ですね。
それでは、今回はここで終わりとしましょう。
ありがとうございました。


踊る猫:有難うございました。またよろしくお願いします。