蝶になったあの日から

乙女心と秋の空 / HEAVY MENTAL HERTZ

凡庸なる

 わたしは李徴だ。所謂、臆病な自尊心と、尊大な羞恥心を抱えている。
 己を凡人だとわかりながら、凡人だと悟りたくない。
 けれども、わたしは虎にはなれない。逃げ、駆ける勇気を持たない。わたしの本能の行き着く先にきっと発狂はない。
 文芸によって「変態」を描きたい。それは「狂気」も含んでいるし、「美」も含んでいる。エロスやグロテスクは放っておいて。
 頭が歪んじまっちまうような。脳を染め上げるような。
 磨かなくちゃいけないものがいっぱい。