蝶になったあの日から

乙女心と秋の空 / HEAVY MENTAL HERTZ

好きとか嫌いとか

 好きな人は勿論のこと、嫌いな人も尊敬している(部分がある)。反面教師という側面もあるが、嫌いな人にも必ずどこか認めざるをえないところがあるからだ。通りすがりの人でもない限り、嫌うには理由がある。嫌うに至るだけ踏み込み、知っているから認めざるをえないところが見えてくる。
 わたしは人を好きになりづらい。常に粗探しをしていたり、NGなことが多かったりするわけではなくて、好きのハードルが高いのだ。一目惚れや、一耳惚れのようなズキュンとくるものがないと、なかなか好きになれない。ある程度期間を置いてから好きになったという事例が思い浮かばない。それくらい第一印象できまる。だから、未だに無関心を貫いている作家はたくさんいる。そこを避けていては書き手としての成長が止まってしまうとは思っているのだけれども。
 恋愛対象も同じく。最初ですべてが決まってしまう。後々わかるギャップに萌えるなんてことはない。わたしの心を射抜く矢が放たれなければ、揺さぶられない。
 そうやって高く厚い壁を造っているから、わたしには人が寄り付かない。それはとても楽。ひとりは楽だもの。自ら変えていこうとは思わない。ただ、変わっていくことは怖くない。むしろ、楽しみにしている。ひとたび興味を持ったら、とことん追求し、掘り下げ、愛していく。愛は簡単に差し上げられません。