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蝶になったあの日から

乙女心と秋の空 / HEAVY MENTAL HERTZ

近江舞子の週末Amazonでポチってこれ読もう No.3(前編)

読書

舞子:こんばんは。近江舞子です。「近江舞子の週末Amazonでポチってこれ読もう」、始まりました。
この企画は夜、眠る前にTwitterでぽちぽちしていたときに、「伊集院光の週末TSUTAYAに行ってこれ借りよう」の小説版をやりたいなと思ったのがきっかけです。
わたしの読書の幅を広げたい、文章技術を向上させたいという極めて利己的な動機が発端ですが、わたしに向かって推薦してもらうものではなく、ゲストが大好きだと声を大にして叫びたいものを選んでいただいています。
さて、今回はゲストにタイトルと見どころをうかがう、「これ読もう」編です。今回のゲストは、シンさんです。こんばんは。


シン:こんばんは。よろしくおねがいします。


舞子:えーっと、出会いというか、わたしがシンさんの存在を認識したのはいつごろか思い出そうとしたのですが、思い出せませんでした。


シン:あ、そうなんですよ、わかります。


舞子:わたしが東京に住んでいて、そこを離れるとなったときに、メッセージを頂いた記憶はあるので、少なくとも七年以上前でしょうか。


シン:わ、思ってたより長くてびっくりしました。Twitterとかやり始めるよりも前かもしれないですね……


舞子:同じことを繰り返しますが、きっかけは覚えていないんです。でも、シンさんのはてなダイアリー(現在は、はてなブログ)をずっと拝読し、お慕いしております。


シン:ありがとうございます。まあほんとうに日記という感じで。いや、内容的にあんまり日記っぽく気もしますが、とりあえず間が空いたりしつつも書き続けてはいますし、じぶんとしては楽しくやってるんですが、リアクションもらえることってあまりないので、読んでももらえてるの、ほんとうに嬉しいです。じぶんも近江さんの日記は読んでいて、小説も、ぜんぶではないですが、読ませてもらったりしてます。


舞子:えっ、わたしの小説もご覧になっていたのですか。それは驚きです。日記のほうは最近サボり気味ですね。書こうという意志が弱まっています。これは、そんなふがいない自分にやる気を出させる為の企画でもあります。


シン:小説、読んでますよー。近江さんの日記が当初は好きで読み始めてたわけですけど、途中から小説書かれ始めて、ちゃんと動き始めた雰囲気があったので、すごいな、って思ってました。


舞子:ありがとうございます!


シン:なので、近江さんの日記が好き、って面から言えば、日記をまた書き始める動機がこの企画によって出てきたりしてくれるならありがたいところもあります。笑


舞子:少しタイミングが遅くなりましたが、普段どんな活動をされているか、簡単な自己紹介をお願いできますか?


シン:あらためてまして、シンと申します。主にはてな周辺をうろうろしながら、素敵な日記を読ませていただくのが、もう完全に趣味になってしまってる気がします。じぶんも、ずっと単なる思想録のような日記を書き続けてるだけですが、それを書いているのがとても楽しいし、たまに出会いがあったりもしてくれるし、インターネット素敵だな、って思います。読書も好きです。まあ積ん読も多いですが……。活動という活動があまりなくて残念です笑


舞子:いえいえ、我々は、芸能人やアーティストじゃないので、そんなものですよ。


シン:たしかに。


舞子:本題に行く前に。そういえば、シンさんの音楽の趣味を知りたいなと思いました。好きなミュージシャンはいますか?


シン:あんまり継続的に好きなアーティストはいないんですよね。あんまり生活圏内に音楽がない人種だな、とは、じぶんでも思います。音楽かけながら作業したりしないですし。ただ、単純に気に入ったアルバムが出来てよく聞いてる、みたいなハマリかたをする時期はあって、かなり昔ですが、黒夢をめちゃくちゃ聞いてる時期はありました。清春さんをずっと追ってるとかじゃないんであれなんですが、一回近江さんには伝えとこうとか思ったりしてました。笑


舞子:おおっ。意外です。ちなみにそのとき聴いていた黒夢の曲で印象に残っているものはありますか?


シン:「Miss MOONLIGHT」と「ICE MY LIFE」はだいぶよく聞いてた気がします。


舞子:活動休止前の男性人気最高潮のときの曲じゃなくて、女性人気のほうが高かった頃の曲ですね。これまた意外です。まだまだこの話を続けたいところですが、そろそろ本題にいきましょう。


シン:了解です−。


舞子:シンさんが紹介する小説は?


シン:辻村深月さんの『ぼくのメジャースプーン』を紹介したいと思います。


舞子:

ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)

ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)

これですね。


シン:そうです。


舞子:どういう作品かおおまかでよいので教えてください。


シン:主人公の通う小学校で、飼っていたウサギが惨殺される事件が起こります。そして、この事件のせいで、主人公の幼馴染みの少女の心が深く傷つけられることになります。つかまった犯人に対して、主人公の少年が、ある特殊な能力を使って、それを償わせることができないか、を静かに考えていく、ような物語です。特殊な能力、と書きましたが、主人公の少年には、特別な能力があって、それは、「相手に、脅迫的な二つの選択肢を提示し、どちらかを必ず選ばせることができる」というようなものです。この能力を使って「邪悪さ」に対して何ができるのか、ということを丁寧に考えていくところが、この物語の中心になっているかと思います。難しいですね。判りづらかったらすみません


舞子:主人公の能力も「邪悪さ」を兼ね備えているように捉えられますが、そう思ってよいでしょうか?


シン:うーん、確かに。そうですね。そのあたりの責任や覚悟については、物語内でも細かく触れられていた気がしますし、それをやるのが正しいのか、というところまで含めて構築されていたかと思います。犯人の邪悪さは「利己的な動機で、人を傷つけ、そして、そのことを微塵も気にしない」タイプのものなんですが、この利己性と、ほんとうに主人公がその能力を使って犯人に立ち向かうか、というのは、並列的に語られていた気がします。


舞子:なるほど。では、ここから三つの「ここ読んで」ポイントを挙げていただきましょう。


シン:一つ目は、この物語の根幹でもありますが、「人を傷つけてまったく罪悪感を覚えずにいられる相手に対し、どういう選択肢を与えれば、効果がありうるのか」ということ、もしくはそれをめぐる議論、ですね。真に利己的で、ほんとうにまったく悪びれない人間に、罪を自覚させたり、罰を与えたり、するような「言葉」が、存在するか? というのは、わりとじぶんの中でも大切にしている問題で、ここのところがすごく好きなんです。


舞子:現実社会でも稀にいますよね。「人を傷つけてまったく罪悪感を覚えずにいられる」犯罪者は。死刑になろうが知ったこっちゃないっていう。


シン:いますね。そして、そういう人に対しては、本質的には立ち向かいようがないのかな、という恐怖もあります。


舞子:この作品では、主人公がそれに立ち向かうのですね。


シン:そうです。そのあたりに光を当てた物語で、しかも綺麗に一冊で完結させられていて、すごいな、と思いました。


舞子:続いて、ポイント2をお願いします。


シン:二つ目は、一つ目と重なってしまうところもあるのですが、その「邪悪さ」に向き合ってどうすべきか、ということについて、複数からの視点、登場人物ごとにきちんと違う価値観、思想、が語られていて、その細やかさ、が見どころかと思います。


舞子:ほー。主人公の視点だけで終わらないのですね。


シン:語り手としては主人公のみなので、あくまで議論として話される、という形ではありますが、罪や罰、というものについて、ただひとつの正しいやりかた、ということでもなく、しかしじぶんが正しいと思えることをやるしかない、ということが、バランスよく描かれていると思います。


舞子:日本の裁判における裁判員制度のような、裁判員の意見を聞きつつ、裁判官が最終的に決める、みたいなことでしょうか。


シン:そうですね。そのあたり細かくお話ししてなかったんですが、主人公の少年は、じぶんに能力のことを教えてくれた先生のもとで、この犯人に向かって何を言うか、ほんとうに言うのか、ということをずっと話し合い続けるんですね。この先生のもとで、話し合い、考え続けていく中で、ほかの人物の意見なども織り交ぜられていく、ような形になります。そして最終的には、小学生である少年が、どの言葉を選択するか、になります。


舞子:読者である自分はどう考えるか? という面白味がありますね。それでは、最後のポイント3をお願いします。


シン:三つ目は、この物語自体からはすこし離れてしまうんですが、著者である辻村さんのこの時期の作品って、作品ごとにわりと小さな繋がりがあって、先ほど出た「先生」も、ほかの作品に出演していたりしますし、物語内で少し語られていたエピソードがほかの物語と絡んでいたりします。直接的な読みどころではないんですが、特にこの「メジャースプーン」は、他の作品との繋がりを追うとより楽しく読める形になっているかと思うので、そのあたり、すこしだけ気に留めておいてもらえれば、って思います。


舞子:わかりました。さっそく、ポチりました。読むのが楽しみです。本の紹介はここまでとしまして、シンさんからお知らせや言っておきたいことなどがあればどうぞ。


シン:特に目立った活動はしていませんが、日記は好きで書いているので、読んでもらえたら嬉しいです。http://meltylove.hatenadiary.com/というくらいかと思います。


舞子:わたしも、もっと多くの方々にシンさんの日記を読んでもらいたいです。


シン:ありがとうございます。うれしいです


舞子:それでは、また二週間後に感想を語り合いましょう。


シン:そうですね。よろしくお願いします。