蝶になったあの日から

乙女心と秋の空 / HEAVY MENTAL HERTZ

 死のうと思っていた。

 これは太宰、『晩年』の言葉。わたしも同じだった。
 現世を生きられない気がした。現実を生きられない気がした。こうして息して、生きているのに。
 だから、かな、物語の中に行きたい。物語の中に生きたいと願った。
 物語の中にしか生きられない、悲しく、淋しく、美しい人たちを書きたい。
 ここで死んでも別の場所がある。それは天国でも地獄でもないよ。