蝶になったあの日から

乙女心と秋の空 / HEAVY MENTAL HERTZ

瞳の色素

 あなたの瑠璃色の瞳は美しい。けれども、それは燃える情熱の色ではないのです。
 きれいなものを吸収して、沈殿したから色づいたのです。
 あなたに見つめられると、安心します。その視界に存在することを許された気がして。
 今日という日はどうでしたか。その瑠璃色を濁らせはしませんでしたか。心配です。
 胸が疼く。
 だって、花が、あなたの好きな赤い薔薇の花が散ってしまったのですから。
 薔薇は四季咲き。またすぐに開くとはいえ、やっぱり終わりは始まりとはいえ、さよならは辛いでしょう。
 だから、わたしは明日、両手に花束を持って、あなたの元へ伺います。瑠璃色を絶やさない為に。