蝶になったあの日から

乙女心と秋の空 / HEAVY MENTAL HERTZ

 ああ。なんだろうこの感じ。
 基本的には死にたくない。生きていたい。生きてもっとたくさんの彼ら・彼女らの作品にふれたい。もっとかっこいい服を着たい。もっと美しいものに囲まれたい。


 でも、思う。辛い。肉体的にも精神的にも辛い。毎日、「大丈夫かな、大丈夫かな」と不安に駆られながら暮らしている。これは鬱? 確かにドグマチールを飲んでいるけれど、自分ではこれは鬱ではないと思っている。だったら、なんで眠れないの? いろんなことを試したよね? にもかかわらず、もう半年の間、ぐっすり眠れた日は一日も無い。医者は病名をくれない。薬を処方するだけ。カウンセリングには長い時間が必要だ。


 過去に囚われている。豊かではなかった家庭。説明、指示、命令、愚痴しかなかく「会話」がなかった家庭。怖いだけの父。その父の言わば共犯者であり被害者である母。 たぶんそこから来てる。男性が怖い。怒るから。女性が怖い。怒るから。怒られるのはとてつもない恐怖だ。


 会話ができない。自分の意見が言えないし、そもそも無い。言われた通りにするだけの人生が20年近く続いた。そして、自由になった。どんどん孤独の方向へ走っている。


 僕が好きだった人は、実は僕のことを好きではなかった。気づいていたけれど、気づかないふりをしていたのかもしれない。見なかったことにしたかった。


 頼る人も、煙草も、酒もない。内に積もるばかり。みんな醜い。何よりも自分が一番醜い。


 こんな人生やめたい。その一手段として自殺がある。仕事を辞めて、貯金を全部下ろして好きなことに全部使って、つまらない小説の一本でも完成させて死ぬ。それが理想。残念ながらそんな勇気はない。だから、現実的に将来に備え少しずつお金を貯め、少しずつ掌編小説や詩を書いている。


 AGITATORは言った。

"愛してほしい"って言っちまえばいい

そうなんだ。愛してほしい。誰かに必要とされ、また誰かを必要として支え合う関係を築きたい。

 
 「パンドラの箱」の話が好きだ。解り易い解釈が出回ってしまっているけれど、そっちじゃなくて、箱に最後に残った本当のもの。それは「未来を全て分かってしまう災い」。それがあったからこそ希望を失わずに済んだ。
 蝶は言った。

昨日は希望を触ったね ぼやけて香る光だった

いつか掴めるだろうか。