蝶になったあの日から

乙女心と秋の空 / HEAVY MENTAL HERTZ

一枚

 「好き」を説明するには?
 あなたのことが好きで、その魅力をあなたを知らない他者に説明するとき、どうすればよいのか? これまで僕はその行為を出来ないからと遠ざけてきた。
 例えば、ただ単に「声が素敵だから」では済まされないだろう。では、雑誌の記事のような文言を並べたとする。僕は心動かされない。しかし、多くの人たちはそれで興味をそそられるのだろう。だからといって、「一度見てみて、聴いてみて」と押し付けるのも嫌だ。僕もされたら迷惑だ。自分が感じたとき、琴線に触れたとき、僕の壁を突き破ってきたとき。そういう場合にのみ、ちゃんと味わえるからだ。そうでないと受け取る側である僕が機能しない。
 僕の感性か。そう、「僕だったら」で考えるから、伝えようとするのを諦めてしまうのだ。みんなは僕じゃない。けれども、わざわざ感性のかけ離れている人に無理をして説明をしようとは思わない。とすると、この問いは何なのだろう。「好き」を説明したいのではなかったのか?