蝶になったあの日から

乙女心と秋の空 / HEAVY MENTAL HERTZ

会えた

 辺りは薄暗い。足下は柔らかい絨毯。よく見渡すと広い空間には多くの正装をした人々がいる。僕は、何かのパーティーに来ている。
 会場を少し歩くと見覚えのある方が。細い身体、お洒落な装い、サングラスとハットをしていても溢れ出すオーラ。もしや。
「ようこそ。いらっしゃい」
 彼は右手を差し出す。僕は反射的に両手で握り返す。言葉がなかなか出てこない。そして、
清春さん。お会い出来て嬉しいです」
 ようやく言えた。すると彼は微笑み、左手を重ねてくれた。