蝶になったあの日から

乙女心と秋の空 / HEAVY MENTAL HERTZ

 『生きる』を伝えてみる

 息子の為にお金を残そうと仕事一筋で働いてきた市民課の課長。定年退職も視野に入ってきた頃、胃がんを患う。そして自分の人生を振り返り自分の生き方に絶望する。しかし、一つのきっかけにより生まれ変わる。市民の要望を汲んで他部署へ上司へ公園を造るようにはたらきかけた。そして、公園の完成後、主人公はブランコをこぎながら死んでいく。というのがあらすじ?
 中盤まで見たところでの感想は、五十数年たっても人間、否、日本人の悩みというのは変わらないのだなということ。だから、不朽の作品となっているのだろう。
 もっとも印象的だった描写は、生まれ変わるきっかけの場面で喫茶店の階段を駆け下りて行くときに、入れ替わるようにして誕生日会に現れた少女に対してハッピーバースデーと唄われていたところ。ああ、この文章が下手だ。生きる意味とかそういう表現は嫌なのだけど、当人はそれを見つけたぞ! と向かっていくんだよな。
 あと、お葬式があって主人公の真意を解釈しあって結論がでたあと、みんなもうまれかわるぞみたいな雰囲気になって翌日、結局元通りというところもよくて、それに対して憤りを表す青年もまたよかった。
 おもしろかった。また、見たい。