蝶になったあの日から

乙女心と秋の空 / HEAVY MENTAL HERTZ

祈り

今となってはささやかな幸せがあって、それは信仰にも似ていて心を穏やかにしてくれる。けれども、前までは本当に生き辛かった。死にたいという願望はないものの、この人生を続けたいとは考えていなかった。
変わりたい、そればっかり思ってきた(今もそうだ)。思ってるだけだったのが、やがて行動になり、だいぶ時間がかかってようやく一歩進めたときに、変われたことに喜べた。用意された、きれいな景色に至る道も、その案内も数多くあるけれど、僕には居心地が悪かったから、自分の道を見つけて、そこを楽しむことにした。
僕には何もない。何も出来ない。こんなふうになってしまった。それはもう仕方のないこと。過去は変えられない。だからこそ、今は、ささやかなことが嬉しい。
じゃあ、何が僕に変化をもたらしたのかというと、それはよくわからない。素敵な人や作品に出会えたのは偶然だ。でも、その偶然をただ漫然と待っていたわけではない。自分を低めるようなことをせず、「まだ会えないあなた」に向けて祈っていたんだ。
人の心を動かしたいなんて大それたことは言わない。ただ、気掛かりで。